世界一の昆虫 リチャード・ジョーンズ

1:||‐ 〜 さん2013/01/19(土) 20:44:17.98ID:EYBvTtrY
いちばん古い昆虫

リニオグナータ・ヒルスティ ( Rhyniognatha hirsti )
発見場所 英国スコットランド・アバディーン州

420:||‐ 〜 さん2014/05/30(金) 23:50:55.03ID:wfhIoiFB
 
いくつかの繭は次の世代のために残しておくか、あとは絹糸の生産のために使われる。

沸騰した湯に繭を2〜3分浸すとセリシンが溶け、繭がほどけてくる。

ほぐれた糸の先を機械に結びつけ、伸ばしながらより合わせることで絹糸となり、染色や紡職に使われる。

養蚕の起源ははっきりしないが、記録に残っている最古のものは、紀元前2600年頃の中国のものだ。

伝説によると、黄帝の妃、西陵氏が偶然にカイコガの繭を熱い茶に落としたところ、繭が広がり、光沢のある繊維が現れたという。

カイコガの食料であるマグワは中国原産の植物だ。

中国人は用心深く命がけでこの秘密を守り、2500年ものあいだ絹の生産を独占してきた。

しかし紀元前150年頃、インドにカイコガの卵がこっそり密輸され、そこからペルシャ、トルコへと伝わっていった。

現在では絹糸は世界中で生産されているが、中国、インド、ブラジルの上位3国が圧倒的な生産量を誇っている。

421:||‐ 〜 さん2014/05/31(土) 09:02:54.04ID:NJYoFLJN
>>420
いつも不思議に思うんだけど
ほぐれた糸の先ってどうやって探すんだろう?

422:||‐ 〜 さん2014/06/01(日) 06:31:03.33ID:+sFVR11J
見たことないな

423:||‐ 〜 さん2014/06/02(月) 22:15:03.01ID:FVJ7UO6j
https://www.youtube.com/watch?v=fE4pBO-NFBg
https://www.youtube.com/watch?v=ybmH7i8Bm_Q

糸紡ぎって神事だったりもするわけだけど、
綿菓子なんかも儀式の擬似伝承的な側面もあるのかもしれない。(めっちゃあやふや)

424:||‐ 〜 さん2014/06/02(月) 22:17:52.19ID:FVJ7UO6j
 
傷口を治療する昆虫

ヒロズキンバエ ( Lucilia sericata )
生息地 世界各地
特徴 幼虫(ウジムシ)は、化膿し壊疽状態の傷口をきれいにする

425:||‐ 〜 さん2014/06/02(月) 22:19:58.60ID:FVJ7UO6j
 
ウジムシと呼ばれる生物が、好感をもたれることは少ない。

食物にたかり、穀物を食い荒らし、基本的に汚物、糞、腐敗物、廃棄物と共に存在するからだ。

「ウジムシ」という呼び方は、柔らかくて脚のない幼虫全般をさし、いろいろな昆虫に使われるが、最も多くこう呼ばれるのはハエの幼虫だろう。

人間の肉体にたかるウジムシの逸話はたくさん残っている。

例えば戦場で傷を負った兵士が何日も放っておかれた場合、傷口が病原菌に感染し壊疽を起こすと、軽傷でも命取りになることがある。

しかしフランスの外科医、アンブロワーズ・パレは1557年、スペインとのサンカンタンの戦いで、ウジムシがたかった傷の快復が非常に速いことに気がついた。

ナポレオンのエジプト遠征、クリミア戦争、南北戦争のときにも同じような記録が残っている。

ウジムシは壊死したり感染したりした細胞組織を食べるようで、結果的に皮膚や筋肉を傷つけることなく治療させるのだ。

426:||‐ 〜 さん2014/06/02(月) 22:22:03.53ID:FVJ7UO6j
 
残念なことにウジムシに対する嫌悪は強く根深かった。

微生物が発見され、病気や感染と細菌とのかかわりが明らかになると、ウジムシのような汚いものを傷につけるなどという行為は、医学的な考えに反するとされたのだ。

感染した傷口をウジムシできれいにするという考えは1920年代まで受け入れられず、ようやく認められたあとも、長続きはしなかった。

1940年代に抗生物質が開発され、ウジムシの出番はなくなってしまったからだ。

しかし今日、抗生物質に対する耐性をもつ細菌 ( 例えばMRSA:メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 ) の登場で、

人類は治らない感染症や壊疽などの新たな危険にさらされている。そこでウジムシの再登場を請うこととなった。

壊死した傷口を治療するため、現在、不妊処理をしたヒロズキンバエの幼虫は、製薬会社をつうじて容易に手に入るようになった。

427:||‐ 〜 さん2014/06/16(月) 09:40:32.47ID:UMTDvSgm
 
皮膚の治療を手伝う

カラフトキリギリス ( Decticus verrucivorus )
生息地 ヨーロッパ、アジア
特徴 イボを噛み切るために使われる

428:||‐ 〜 さん2014/06/16(月) 09:41:05.34ID:UMTDvSgm
 
比較的大きな動物の多くは、人間による利用方法にちなんで名前をつけられている。

人間はその肉を食べたり、皮革や毛皮を商品に仕立てたり、ペットとして飼ったり、狩りの対象になったりするため、

「どのように有効か」がわかる名前をつけている。

それと対照的に昆虫の場合は「どのように迷惑か」という点が名前の由来であることが多い。

ウシアブはウシのウマバエはウマの血液を吸い苦しめる、キクイムシは木を食い荒らす、イガ ( 衣蛾 ) は衣類をだめにするなどだ。

またモンシロチョウの英名「キャベツの白」はアブラナ科の植物を荒らすことに由来する。

しかし人間にとって役に立ち、重宝がられている昆虫もわずかながらいる。

429:||‐ 〜 さん2014/06/16(月) 09:42:10.37ID:UMTDvSgm
 
なかでも頭部が緑色で、翅に褐色の斑点がまじるカラフトキリギリスは、役立ち方がとても変わっている。

ふつうバッタのなかまは草食性で、短いが力強い大顎で植物を咀嚼する。

一方キリギリスのなかまは雑食性で、バッタを含めた小さな無脊椎動物も食べる。

カラフトキリギリスは大きさこそヨーロッパ最大のキリギリスではないが、しかしその力強い大顎は人間の皮膚を破ることができる。

この能力を利用して、真皮のかたい部分にあるイボやタコなど、できものを除去する治療に使われている。

カラフトキリギリスは、イギリス、ドイツ、デンマーク、オランダ、スウェーデンなどヨーロッパの各地域でそれぞれの国の言葉で「イボをかむ者」という意味の名前がつけられている。

また1758年に博物学者リンネがつけた学名の種小名である verruciorus は「イボを食べる」という意味だ。

初期の昆虫学者によるカラフトキリギリスの観察記録には「ドイツ人とスウェーデン人の農夫が、この昆虫の大顎を皮膚への施術に使用した」とある。

喜色満面の農夫が大きな昆虫をもって、指から血を流しながら「これはいいぞ!」と、叫ぶ場面が想像できる。

430:||‐ 〜 さん2014/06/21(土) 14:48:46.26ID:/MOsdumm
 
絶滅寸前からの劇的回復

ロードハウナナフシ ( Dryococelus australis )
生息地 オーストラリアのニューサウスウェールズ州、ボールズ・ピラミッド島とメルボルン動物園
特徴 絶滅したと考えられたのち再び発見された。人工繁殖が成功し、再移入されるかもしれない。

431:||‐ 〜 さん2014/06/21(土) 14:49:40.31ID:/MOsdumm
 
1788年、イギリス海軍の補給船が、ヘンリー・リッジバード・ボール大尉の指揮によりオーストラリアから太平洋のノーフォーク島へ向かっていた。

目的は島を流刑地として開拓するためだ。

その途中、オーストラリアから600km沖で小さな三日月型の無人島を発見した。

この島はのち「ロード・ハウ島」と名づけられる。

オーストラリアとニュージーランドの中間に位置する、この隔離された楽園には多くの不思議な生物が生息していた。

なかでも珍しいのは体長15cm、翅のないロードハウナナフシで、甲殻類のような風貌から「陸のロブスター」とも呼ばれていた。

その後まもなく、ブタやヤギが家畜としてロード・ハウ島に放牧され、近くを通りかかる船に食料として供されるようになった。

そして1834年、この島に人間が定住したことは、島本来の自然に深刻な悪影響をおよぼした。

例えば1918年には商船マカンボ号からネズミが逃げ出し、生態系に最悪の災難をもたらした。

そうして生態系が崩壊した結果、1930年までには何種類もの固有種の鳥と共に、ロードハウナナフシも絶滅したと考えられた。

432:||‐ 〜 さん2014/06/21(土) 14:50:23.98ID:/MOsdumm
 
2001年、生態学者のチームがロード・ハウ島の南西20kmの海上にあるボールズ・ピラミッド島に上陸した。

切り立った岩が急な崖となってそびえ立つ尖塔のような島だ。

チームの目的は、木の生えていない火山岩の斜面を調査することだったが、メラレウカという植物の茂みに驚くべき生物の姿を発見することになる。

長く絶滅したと考えられていたロードハウナナフシが、24匹隠れていたのだ。

生態学者はそのなかからオスとメスをそれぞれ2匹ずつ採集し、雌雄をペアにした1組は個人ブリーダーに託し、もう1組はメルボルン動物園にもち帰った。

飼育による繁殖計画は非常に順調、2008年には4世代目が生まれ、何組もの成虫のペアと何百個もの卵が孵化するときを待っている。

ロード・ハウ島のネズミ根絶計画もうまくいっており、「陸のロブスター」が故郷に再上陸する日も近い。

433:||‐ 〜 さん2014/06/21(土) 16:10:32.07ID:MNgu0CDc
今、自分はカラフトキリギリスを累代してるけどけっこう参考になる。
ヨーロッパ圏やドイツ南部に広く生息してるけど、日本ではまだ小清水原生花園付近でしか見つかってないんだよね。
しかも小清水原生花園では原則的に昆虫採集が禁止されてるから、採集する際は研究目的として環境省から許可を貰らう必要がある。
しかも産卵された卵は3年後〜4年後に孵化するから管理が非常に難しくて、国内で累代してる人は数人くらいのはず。

434:||‐ 〜 さん2014/06/21(土) 17:48:34.80ID:Onm3NnTg
単為生殖は結局出来ないのか?

435:||‐ 〜 さん2014/06/22(日) 14:50:01.80ID:6VHuC/xV
 
死亡時刻を教えてくれる

ホホアカクロバエ ( Calliphora vicina )
生息地 北アメリカ、ヨーロッパ、アジア北部
特徴 死亡時刻がかなり正確にわかる

436:||‐ 〜 さん2014/06/22(日) 14:51:25.75ID:6VHuC/xV
 
殺人や不審な死に直面したとき、警察が最初に知りたいのは「誰が」でも「なぜ」でもなく、「いつ」という点だ。

この極めて重要な情報は、その後の捜査のすべての局面にかかわってくる。

死後数時間内であれば、硬直の程度や体温によって死亡時刻がわかるかもしれない。

しかし死体発見が数日後または数週間後だった場合、腐乱しつつある死体の死亡時刻を推測するには、ほかの指標に頼るしかない。

それを示唆してくれるのは、ある昆虫だ。

死体は貴重なタンパク源のため、非常に多くの昆虫が卵を産みつける。

死んだ直後にやってくるクロバエを筆頭に、腐敗が進むにつれて、さまざまな虫が集まってくる。

その幼虫を狙って甲虫もやってくる。

437:||‐ 〜 さん2014/06/22(日) 14:52:03.52ID:6VHuC/xV
 
やがて数日のうちに死体は最近による腐敗から膨張が始まり、腐敗物を食べて育つ小さなハエたちがやってくる。

2〜3週間が経つと乾きつつある遺骸にシデムシが寄ってくる。

そして2〜3ヶ月が過ぎた頃には、遺骸は毛髪や骨だけになり、そこには何匹かのカツオブシムシしか残っていない。

死亡時刻を推定する手段として、一般的に用いられ、しばしば重要な指標となるのは、その遺骸で育ちつつあるホホアカクロバエだ。

その虫は死後2〜3時間以内の死体にやってきて、口、鼻、耳、目、皮膚の深い皺、そして傷口があればそこへも300個くらいの卵を産む。

産卵から24時間以内に卵はかえり、うまれた幼虫は食事のために体内へもぐり込む。

食べ進む速度は気温によって変わるが、通常は14〜25日くらいで成虫となる。

ホホアカクロバエの成長過程について、すでに詳しく分かっている。

たっぷりと食べた幼虫は十分に成長すると脱皮する。

この脱皮を3回繰り返してさなぎになり、やがて最終段階の成虫となる。

つまり死体にいる虫がどの成長過程にあるのか調べれば、卵が産みつけられたときを逆算できる。

死後どのくらい経過した死体なのか正確に推測できるというわけだ。

438:||‐ 〜 さん2014/06/23(月) 18:24:25.29ID:OPXJR0/B
 
人間に寄生して大繁殖する

アタマジラミ ( Pediculus capitis )
生息地 世界各地
特徴 人間に寄生した昆虫で最も繁殖したとされる

439:||‐ 〜 さん2014/06/23(月) 18:24:59.25ID:OPXJR0/B
 
人間の歴史においてアタマジラミは災難ともいえるものだった。

古代の遺跡には、アタマジラミそのものだけでなく、卵の抜け殻とそれを取り除くための櫛が残っていた。

しかしアタマジラミは多少不愉快ではあるが、健康を損なうものではないことを、我々は感謝しなくてはならない。

ほかのおおくの血液を吸う寄生虫のように、アタマジラミは病気を運んだりしないからだ。

アタマジラミは不衛生や社会的地位の低さ、不信心などによってうつるわけではないにもかかわらず、恥ずかしいものと考えるむきは多い。

実際のところアタマジラミは誰にでも寄生するのだ。事実、アタマジラミは不潔な頭よりも清潔な頭を好む。

洗っていない細い髪は、自然の油分が絡まって活動しにくいからだ。

440:||‐ 〜 さん2014/06/23(月) 18:26:11.09ID:OPXJR0/B
 
アタマジラミが大繁殖した場合、貧血や失血が起こるのではないかと懸念する専門家もいた。

そこで2005年、アタマジラミがどのくらい血液を吸うのかが正確に調べられた。

オーストラリアの小学生の頭から摂取されたアタマジラミを、暖かくて湿気の多い条件のもと、6〜8時間飢えさせる。

何匹かまとめて体重を量り、次の科学者の手の上で15分間血液を吸わせ、また体重を量った。

その結果、吸った血液は極めて少ないことがわかった。また、ちくりと刺すような刺激も感じられなかった。

吸血量の調査の結果、メスの成虫は0.0001579ml、オスの成虫はたったの0.0000657mlだった。

最も多くのアタマジラミが繁殖した記録に、子ども1人の頭に2657匹というものがあり、これで計算すると1日に吸われた血液は0.7mlということになる。

アタマジラミは1日に3〜5回に分けて血を吸うと考えられているが、この程度の量でなければ、子供はとっくに貧血になっていただろう。

441:||‐ 〜 さん2014/06/24(火) 14:51:32.21ID:JD9dP3+s
 
短期間の自然選択

オオシモフリエダシャク ( Biston betularia )
生息地 ヨーロッパ、北アメリカの産業都市
特徴 煤煙で黒くなった木の幹に溶け込めるよう進化した

442:||‐ 〜 さん2014/06/24(火) 14:52:41.11ID:JD9dP3+s
 
自然選択による進化は非常に単純な論理の上に成り立つ。

同じ種であってもそれぞれ個体は少しずつ違い、その違いが生存と繁殖にとって有利に働けば、違いは子孫へと受け継がれていく。

そして何世代にもわたるうちに小さな違いが大きく強調され、外見が祖先からかけ離れてしまうこともある。

通常、自然界の進化は何千年、何百万年という長い時間をかけて行われる。

しかし1848〜1895年にかけて、進化がどのように起こるのかを知る手がかりとなる自然選択が、オオシモフリエダシャクで観察された。

本来オオシモフリエダシャクの体色は薄いクリーム色 ( 通常型 ) をしており、黒い斑点がたくさんある。

この色のおかげで、薄い色のコケがまだらにおおった木に完璧にカムフラージュできる。

443:||‐ 〜 さん2014/06/24(火) 14:53:26.36ID:JD9dP3+s
 
ところが1848年、真っ黒な色相のオオシモフリエダシャクが、イギリスの新工業都市マンチェスターで発見された。

この色相は黒化型と名づけられた。

1895年までに、その地域のオオシモフリエダシャクのうち98%が黒色となり、正常型は姿を消してしまった。

同じような変化はほかの場所でも起こった。

1867年、オランダにも黒化型が現れ、1900年までにヨーロッパ北部の工業地帯に広がった。

また北アメリカに分布する北アメリカ亜種 Biston betularia cognataria の黒い色相 ( swettaria型 ) も、フィラデフィア郊外で1906年に発見され、

すぐにミシガン州やイリノイ州の工業都市に広がっていった。

444:||‐ 〜 さん2014/06/24(火) 14:53:58.96ID:JD9dP3+s
 
変化の原因は、黒い色相であれば都市のすすけた木に溶け込めるからではないかと考えられている。

すすで黒く汚れた木にいるには薄い色の型では目立ちすぎ、鳥などの捕食者にすぐに食べられてしまうだろう。

1950年代にはさまざまな実験と調査が行われ、イギリスの昆虫学者バーナード・ケトルウェルがこの論理の証明に着手した。

彼はしるしをつけたオオシモフリエダシャクの両方の型 ( 黒い色と薄い色 ) を、すすで汚れた木とそうでない木にそれぞれ放した。

黒化型は汚れた木で生き残り、薄い色の正常型はそうでない木で生き残った。

その後公害防止のための法律ができ、イギリスからすすで汚れた木が減っていった。

それに伴い黒化型も減っていき、正常型は再び増えていった。

驚くほどの短期間で、まるで再進化したかのように、以前の姿への自然選択が行われたのだ。

445:||‐ 〜 さん2014/06/25(水) 17:07:22.30ID:9Ul7wwcl
 
絶滅寸前

アメリカモンシデムシ ( Nicrophorus americanus )
生息地 アメリカ・アーカンソー州、マサチューセッツ州、ネブラスカ州、オクラホマ州、ロードアイランド、
      そしてもしかするとサウスダコタ州
特徴 かつては広く分布していたが、現在その数が激減している

446:||‐ 〜 さん2014/06/25(水) 17:08:07.61ID:9Ul7wwcl
 
人類は先史時代からさまざまな昆虫に悩まされてきたが、昆虫の多様さから考えると、迷惑な種類はじつはほんの少数だ。

ほとんどの昆虫は小さく、隠れているので見つけにくい。

調査のためにはそれを探し出さなくてはならないが、骨を折って詳しく調査した地域でも、我々の知らないことはまだまだ多い。

たった1種の昆虫を生活環を理解するためには、何年も何十年もかけて緻密な観察を行わなくてはならない。

自然を正確に理解するためには時間がかかり、そのあいだに人間による自然破壊が進んでしまう。

自然に関する新しい知識が得られたときには、その自然が破壊されてしまったあとである場合も多い。

アメリカモンシデムシも絶滅の危機に瀕している昆虫の一つだ。

小動物の死骸に卵を産むこの昆虫は、一時はアメリカ東部とカナダ東南部に広く分布していた。

しかしその数は1920年代に減少しはじめ、1960年まだにはそれまで生息していたアパラチア山脈 ( カナダからアメリカ東北部に位置する ) の東から、

ほぼ姿を消してしまった。

447:||‐ 〜 さん2014/06/25(水) 17:45:32.05ID:9Ul7wwcl
 
現在では以前の生息域の端の方に点在する個体群に限られているが、

1つの個体群につき数百匹しかおらず、長期的に見て生き残っていくのは難しいだろう。

アメリカモンシデムシが絶滅の危機に追い込まれた主因は、都市の発展と農業の大規模な機械化による環境破壊だ。

アメリカモンシデムシが卵を産む死骸には、動物の種類も生息地も特に条件はない。

環境破壊によって生息域が狭められたうえに、スカンクやオポッサム、アライグマなど腐肉を好む動物の侵入によって、

アメリカモンシデムシが動物の死体を発見し、埋めて産卵する前に横取りされるようになったのだ。

アメリカモンシデムシが絶滅の危機に瀕するなどという事態を、誰が予想しただろうか。

事態の深刻さが判明したのは、ずっとあとになってからだ。

アメリカモンシデムシは比較的大きく ( 30mm ) 、体色も美しいが、所詮はただの虫にすぎない。

同じく危機に瀕しているマダガスカルのキツネザルのようにかわいいわけでもなければ、シベリアトラのように威風堂々としているわけでもない。

隠れている小さな昆虫を手間をかけてわざわざ見つけ出し、調査するのは難しく、手遅れになってしまう可能性が高い。

448:||‐ 〜 さん2014/07/02(水) 14:42:48.98ID:THQ7eBwd
 
木造建築の最悪の敵

木材を食べる幼虫 ( シバンムシを含むさまざまな甲虫 )
生息地 世界各地
特徴 先史時代から木造建築物を破壊しつづけてきた

449:||‐ 〜 さん2014/07/02(水) 14:43:41.76ID:THQ7eBwd
 
今から300万年前の石器時代は、石でできた遺物が発見されたことから、その名がついている。

しかしこの時代の人々は石の家に住んだり、石の椅子に座ったり、石の道を歩いていたわけではない。

今日の人類と同様、彼らも木を使っていただろう。

しかし木でつくられたものは残っていない。

すべて破壊され、朽ち果ててしまったからだ。

熱帯地方で木造建築を破壊する昆虫といえばシロアリが最も有名だが、世界にはシロアリが生息していない場所もある。

一方、木材食いの幼虫がいない場所はなく、その破壊行為から逃げることはできない。

木材を食べるずんぐりとした幼虫は、どんな木にもすみつき、いくつかの科にまたがっていても種類は多い。

よく知られているものはシバンムシ ( Anobiidae ) 、 キクイムシ ( Scolytidae ) 、 カミキリムシ ( Cerambycidae ) 、 ナガシンクイムシ ( Bostrychidae ) などで、いずれも甲虫だ。

450:||‐ 〜 さん2014/07/02(水) 14:44:44.26ID:THQ7eBwd
 
人類が登場する前から、彼らはほかの昆虫と共に、木の幹に強度を与えているリグニンなどのセルロース繊維をリサイクルするという、重要な役割を担ってきた。

そして人類が、強くて柔軟な素材である木材を住宅や道具、家具、武器などに利用するようになると、彼らも木材と一緒に屋内に入り込み、森にいるときと同様に内側から木材をかじり続けた。

木材は有用な建築資材だが、現在においても過去においても、代表的な名建築のほとんどが頑丈な石でできているのは、偶然ではない。

石の建物はあらゆる攻撃に耐え、木材を食べるちっぽけな昆虫の相手ではない。

これらの虫は単に木造建築を破壊させるだけではない。

彼らは木の繊維でつくられた紙類も大好物なのだ。

フルホンシバンムシや、甲虫ではないがシミも、印刷物や彩色された原稿、パピルス、樹皮の巻物を食べる。

そのせいで貴重な美術作品や記録された知識、英知までもが失われてしまうのだ。

451:||‐ 〜 さん2014/07/10(木) 22:16:14.27ID:bsfTrRDs
 
最も多様性に富むグループ

甲虫目 ( Coleoptera )
生息地 海岸沿いから山頂まで、北極と南極を除く世界各地
特徴 動物すべてを含めて最も多くの種が属する目

452:||‐ 〜 さん2014/07/10(木) 22:16:55.70ID:bsfTrRDs
 
イギリスの科学者 J・B・S・ホールデン ( 1892〜1964 ) は、

ある聖職者から「神が創造されたものを研究することにより、神の御心のなかには何があったかを推測できるか?」と尋ねられた。

それに対するホールデンの答えは「甲虫に対する過度な選り好み」だったとされている。

20世紀末までは、世界中の博物館や個人のコレクションを調べることで、昆虫の種の数を推測していた。

リンネの命名法が採用された1758年以降、昆虫学の論文には、種の記載に用いた標本について、保管先まで特定できる詳細な情報が記されるようになった。

論文を読み、保管してある標本を調べれば、種類数の推測ができる。

1980年代、すべての動物を合わせると地球上にはおよそ120万種がいると考えられるようになり、そのうち100万種は昆虫であり、

100万種のうち40万種はかたい前翅をもつ甲虫だとされた。

ここ30年間、昆虫学者が熱帯雨林を詳細に調査してきた結果、種の数は劇的に増加した。

調査の方法はきわめて単純で、殺虫剤をロープで木々の上に引っ張り上げて噴射すると、下に広げた採集シートの上に未知の昆虫が落ちてくる仕組みだ。

453:||‐ 〜 さん2014/07/10(木) 22:22:03.15ID:bsfTrRDs
 
その後の理論づけはもう少し複雑だ。

さまざまな植物を食べる虫はいるものの、ほとんどは一種類の葉、もしくは同じなかまの葉しか食べない。

そこで殺虫剤の噴射により発見できた新種の数に、植物や木の種についての知識を加えて、昆虫全体でどれだけの種がいるかを推測している。

これらのデータからある科学者は、「昆虫はおよそ3000万種がおり、うち1200万種が甲虫である」と推測している。

しかしほかの科学者はまた違う結果を算出し、「300万〜8500万種の昆虫がいて、100万〜3000万種を甲虫が占める」と推測地の範囲は広い。

正確な数値はわからないにせよ、重大な懸念は、このうちの多くの甲虫が発見される前に絶滅してしまうのではないかということだ。

454:||‐ 〜 さん2014/08/08(金) 21:34:58.44ID:0bCxYTxG
甲虫かよ

455:||‐ 〜 さん2014/08/13(水) 19:46:04.09ID:bWVD88et
 
世界でいちばん珍しい

オウサマゲンゴロウ ( Megadytes ducalis ) ほか多数
生息地 ブラジル
特徴 1体の標本があるのみで、それ以外に見つかっていない

456:||‐ 〜 さん2014/08/13(水) 19:47:52.67ID:bWVD88et
 


1882年、イギリスの著名な昆虫学者デイビッド・シャープ ( 1840 〜 1922 ) が、当時知られていた世界の水生昆虫について膨大な研究論文を発表した。

そのなかで詳述されていた数種類の新種の一つを彼は、オウサマゲンゴロウ Megadytes ducalis と名付けた。

体長50mm、横幅は30mmもあり、発見されたなかでは最大の水生昆虫だった。

この種について、ラテン語と英語の両方で書かれた200語ほどの簡潔な原記載には、原産地 ( ブラジル ) と採集者の名前 ( サンダース ) が明記してある。

さらに「この種に関しては1匹の個体しか見ていない」とある。

その1匹は今、ロンドンの自然史博物館に唯一の標本として保存されている。

このオウサマゲンゴロウを世界でいちばん珍しい虫としていいのだろうか?

457:||‐ 〜 さん2014/08/13(水) 19:50:58.08ID:bWVD88et
 
例えば昆虫が100万種類いるとして、そのうち大多数は生息地に行くのも探すのも難しい。

従ってそれらの昆虫について知るには、博物館や研究所に保存されている標本を通して研究するのが普通だ。

現在保存されている標本は、過去300年にわたって少しずつ集められたものであり、シャープのような専門家が時間があるときに研究史、同定し、分類する。

新種に関しても同じ過程を経て書物などで発表されるが、そこにはシャープが記したような「唯一の個体の標本である」というコメントが付くこともよくある。

なかでもオウサマゲンゴロウは最も珍しい昆虫として取り上げるのにふさわしいだろう。

この標本につけてあるラベルにはシャープが論文に書いたものと同様、わずかながら原産地についての情報が書いてある。

原産地ブラジルは850万平方kmという世界で5番目に広い国土をもつ。

そして淡水系で世界最大の河川面積を誇るアマゾン河が流れている。
 
世界で唯一の標本となったオウサマゲンゴロウは、その河に浮かぶ丸木舟の底で発見された。

どうすれば再びこの昆虫を発見することができるのだろうか?

我々にできるのは、再び現れてくれるのをただ待つことだけだ。

しばらく、あるいは永遠に待たなければならないだろう。なぜなら1994年、オウサマゲンゴロウは絶滅したと宣言されたからだ。

4582014/08/13(水) 19:52:06.30ID:bWVD88et
 
これで終了です。
私が書いた本ではないんですけど、読んでくれた人はどうも。

459:||‐ 〜 さん2014/08/15(金) 17:04:38.61ID:uDrSNScf
面白かった

460:||‐ 〜 さん2014/08/15(金) 18:59:24.48ID:X5FnUdWg
色々勉強になった
ありがとう!

461:||‐ 〜 さん2014/08/23(土) 04:02:23.73ID:24u2c7Ru
ぜんぶ読んだよ。
おもしろかった。

462:||‐ 〜 さん2015/04/02(木) 05:15:41.93ID:cjqIbzYm
読み返す

463:||‐ 〜 さん2015/08/16(日) 19:19:31.38ID:mIjEmeMe
上げ

464:||‐ 〜 さん2015/08/23(日) 20:51:26.10ID:I65wRTIa
キョジンカマキリ輸入してくれ

465:||‐ 〜 さん2017/04/13(木) 01:38:55.44ID:ooGGKS2w
age

466:||‐ 〜 さん2017/05/17(水) 01:45:37.40ID:J8fY+fuQ
 ___ _
  ヽo,´-'─ 、 ♪
   r, "~~~~"ヽ
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 __ '!从.゚ ヮ゚ノル   総務省の、『憲法改正国民投票法』、でググって見てください。
 ゝン〈(つY_i(つ   いよいよ日本国憲法改正の、国民投票が実施されます。お願い致します。☆
  `,.く,§_,_,ゝ,   
   ~i_ンイノ

467:||‐ 〜 さん2017/11/25(土) 09:21:00.35ID:JevWwIZI
おいリチャード

468:||‐ 〜 さん2018/02/07(水) 02:02:58.17ID:Gfq92wrZ
ジョーンズの

469:||‐ 〜 さん2018/02/20(火) 20:34:28.22ID:p7kAtdic
てす

470:||‐ 〜 さん2018/05/14(月) 21:23:45.64ID:R0V1kP9W
☆ 日本人の婚姻数と出生数を増やしましょう。そのためには、公的年金と生活保護
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