【短編可】初心者が自作小説を発表するスレ【長編不可】

1ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 01:22:54.65ID:Ias15nLw
☆短編オリジナル小説を発表するスレです☆

<ルール>
・小説になってねえような駄文、自己満足大歓迎。
・長編不可。
・勢い重視。誤字脱字、詳細設定、推敲なんてクソくらえ。
・無理やりにでも完結。作者が完結と言えば完結。
・エログロはほどほどに・……。
・批評批判はほどほどに……。


お暇ならひとつ、小説など書いてみてはいかがでしょうか。

2ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 01:24:19.00ID:Ias15nLw
ってまあ俺しか書かないんだろうけどね。
明日(今日)にでも勢いで書いた作品持ってきます。

3ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 22:51:22.76ID:Ias15nLw
【ジャンル】SF  


 私はみんなと仲良くなりたかったんだ。
 ただ、それだけだったんだ。


「ねえ、ここに名前書いてみなよ。名前」

 休み時間。私に向けられたこの言葉が全ての始まりだった。
 その女の子は私の前にノートを差し出した。
 私は素直に自分の名前を書く。

「違うよ。ちゃんとあなたの国の文字で書きなさいよ」

 私は素直に自分の名前を書いた。
 両親から教えられた、自分の国の文字。

 ―― さクら

 その女の子は私の文字を見ると、教室中に響き渡る声で叫んだ。
 
「ねえ! みんな見て! この変な文字! こんな古代文字読めないよー!」

 教室中の視線がそのノートに集まる。
 だけど女の子はそれをみんなに見せるでもなく、そのノートで私の顔を何回も叩きながら言った。
 
「あんたさぁ。ムカつくんだよね。いつもニコニコして良い子ぶってさぁ」

 私は首を横に振ってそんなつもりじゃない事をアピールした。
 女の子は更にノートで私の顔を殴りながら言った。

「あんた、劣等民族ニポ人の生き残りよね。何で抵抗しないの?」
「……」
「何でかって聞いてるんだけどー!?」
「パパとママに……ケンカはいけないって……言われてて……みんな仲良くって……」
「はぁぁ?」

 女の子は馬鹿にした顔で私に言った。

「じゃあさ、仲良くしてあげるからお金持ってきなよ。あんたさ、隣のクラスの子に
お金貸してたよね? それもさ、何人も」

 確かに私は隣のクラスの子に、お金を貸してあげた。
 ある子は靴屋さんの前で、新しい靴をじっと眺めていた。ボロボロの靴を履いて。
 ある子は弟と手を繋ぎながらパン屋さんの前で、焼き立てのパンを見ていた。指を咥えながら。
 私はお金を持っていた。だから貸してあげた。ただそれだけ。
 お金でそれが解決できるならって。
 でも、私にもやらしい気持ちがあった。その子達と、ちょっと仲良くなれるかなって。

4ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 22:51:38.87ID:Ias15nLw
 次の日から私はクラスメイトの女の子にお金を渡した。
 何日も、何か月も。
 ある日突然それは起こった。

「ごめんね。今日はこれだけしか持ってこられなかったの……。ごめんね」

 私は何度も何度も謝った。
 お金を渡せば、きっと仲良くなれるはずだ、なんて。
 でも……。
 その子は渡されたお金が少ないと判ると、私を蹴飛ばして叫んだ。

「あんたの生きてる価値って何!? え!? 世界に散々迷惑を掛けた劣等民族が!
なんでのうのうと生きてるの!? 謝りなさいよ! みんなに謝りなさい!」
「ごめんなさい……」
「手をついて謝りなさいよ! 謝れ!」
「ご……ごめんなさい」

 手をついて謝る私は蹴られ、殴られた。
 周りにいるクラスメイトは、誰ひとりこの子を止めようとはしない。
 何かを言いたそうな、複雑な顔をしていた子もいた。けど、その子はその場から
じっと動かなかった。
 私はそれを見てほっとした。だって、止めに入ったらきっとその子も殴られてしまうから。


 長い間、私は気を失ってたみたい。
 誰もいなくなった教室に、外からオレンジ色の光が差し込んでいた。
 
「わぁ……夕日……綺麗……」

 私は自然とそう呟いた。
 夕日を眺めていたら、涙が溢れて止まらなくなった。
 私がしたことは何か間違っていたのかな。
 私はみんなと仲良くなりたかったんだ。
 ただ、それだけだったんだ。
 私達ニポ人は昔、どれほど世界に迷惑を掛けたんだろう。

 私達ニポ人は、遠い遠い昔、東の島国で穏やかに暮らしていたらしい。
 みんなみんな、遠い昔の事。
 遠い遠い、昔の事なのに。

 そう思いながら私は再び微睡んだ。

5ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 22:56:33.61ID:Ias15nLw
『まだ早いだと!? この期を逃すわけにはいかんのだ!』
『しかし、まだ16年分の記憶しか与えていません。このまま覚醒させると自我が影響し……』
『構わん! 同盟国の開発は既に終わっている! 我が国が先陣を切らずしてどうする!』  

 誰の声だろう。
 私はその声の正体を知る為、そっと目を開けた。
 目の前には無数の機械。そして体全体に広がる違和感。私を見る男性の二人。
 驚いたような顔の青年と、ニヤリとやらしく笑う中年男。
 二人は急ぐように機械を操作し、再び私の顔色を窺う。
 すると私の頭に電流が走るような痛みと共に、色々な情報が流れ込んできた。
 遠い遠い昔の事。
 私がこれからすべき事。
 全てが記憶の中に納まると、私はふたりに笑いかけながら言った。

「私は、日本を取り戻せばいいんですね?」 
 
 私達日本人は400年前、東の島国で穏やかに暮らしていたらしい。
 世界に迷惑を掛けた? 冗談じゃない。
 細菌兵器で人口を1/4にまで減らされ、土地を奪われ、日本という国は世界地図から消えた。
 そうなるまで、世界は何もしてはくれなかった。
 太平洋上に浮かぶ、小さなプレートを組み合わせて作った人工島。
 "コーラルリーフ"
 そこにたった200万人の日本人が、国連のお情けを受けながら住んでいる。
 それが私達の今の姿だ。
 みんなみんな、これが現実。

 

6ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 22:59:02.83ID:Ias15nLw
 私は自分の体に取り付けられた装甲をチェックした。
 外骨格で構成された真っ白な装甲。まるでアニメに出てくるパワードスーツのよう。
 両腕両足と胸、背中以外、体はむき出しの状態。だけど防御はこれで充分過ぎる程だって理解してる。
 腰には超高速振動子刀長船。武器もこれで充分ね。
 肩の装甲と胸の小さな装甲には、日本の国旗と小さな桜のマークが入っている。

 装甲を着こんだ私はコクーンと呼ばれる卵型のブースターポッドに乗り込み、出撃を待った。
 目の前にスクリーンが展開し、メガネを掛けた女性が映し出された。

「あなた、なかなかいい度胸ね。心拍数も脈拍も正常。ニューロンシステムも正常作動。私なんて
皇国の興廃この一戦にあり〜って感じでずっとドキドキしてるのに」  
 
 できるできないじゃない。やるしかないんだ。そう思うと、妙に心が落ち着く。
 私が生きた16年間は全て虚構だった。コンピューターで描かれた世界の中で私は育った。
 実際には家族も友達もいない。
 私はただの人形。人形が心なんて持つものか。

「我が国家元首の演説が終わったらフィリピン上空でコクーンから切り離す。日本を取り返す前の前哨戦ね。
まずフィリピンを解放するわよ。さくら、準備はいい?」 
「いつでも」

 コクーンがカタパルトへ移動する振動が体に伝わった。
 体にGを感じながら、モニターに映し出される国家元首の演説を観た。
 この演説は全世界に配信されている。


 遠い遠い昔の事は……今生きている私が全て清算しよう。



<終>

7ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/12(火) 23:02:25.61ID:Ias15nLw
推敲はほとんどしてない。
投稿できないNGワードが1か所あった。
なぜ<しし>がNGなのか・・・。
しし → 両腕両足
 

次は日常系を書く予定。

8ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/14(木) 00:28:28.27ID:15cvyyjg
【ジャンル】日常
 
春風


『今日の東京は上空は雲一つない、日本晴れ! 気温も今現在、前日よりプラス5℃と暖かく、
やっと本格的な春の陽気を感じられそうです』

 その日の朝、テレビの天気予報では春の暖かさを告げていた。
 昨日突然の雨で寒い思いをしながら帰宅し、暦と季節のギャップを恨んでいた所にこの予報だ。

「今日はバイクに乗っていこうかな」

 僕はバイクのキーを掴み、部屋を後にした。


 なるほど。ヘルメットのバイザーを上げて走行すると、確かに春の暖かさの混じった風が頬を
撫でる。少し肌寒さは感じるものの、バイク乗りにとっては快適なシーズンの到来である。
 僕の愛車はホンダVTZという250ccの中型バイク。
 年式も古く、その付き合いはもう5年を超えている。愛車というよりも<相棒>に近い。

「これってもう骨董品だよ。純正パーツも無いしさ、そろそろ買い換えたらどう?」

 バイク屋へ顔を出すたび、自分より一回りも年齢の低い<お兄ちゃん>に何度も馴れ馴れしい
セールスを受けるのだが、このバイクはなぜか手放す気にはなれなかった。

 お昼過ぎ。
 お得意先での打ち合わせへ向う移動手段として、再びそのバイクは活躍する事となった。
 東京ドーム脇の白山通りを巣鴨方面へと北上する。
 スーツ姿にフルフェイスのヘルメット。そしてバイク。
 通勤時の爽快感は何処へやら、信号待ちのたびになんとも言えない気恥ずかしさが込み上げてくる。
 免許を取ったばかりの僕が憧れていたライディングスタイルは

 <学生服を着てバイクに乗る>

というものだった。念願が叶ったその時は信号待ちのたび、誇らしげに背筋を伸ばしたものだが……。
 僕は春風を感じる為に上げていたヘルメットのバイザーを、俯き加減でそっと下ろした。

9ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/14(木) 00:29:42.81ID:15cvyyjg
 白山下を通過し、京華学園の前で信号のストップがかかる。

 ポコポコポコポコポコ。
 
 可愛らしい排気音と共にそのスクーターは現れた。
 洗車やワックス掛けでは得られない、新車特有の輝きを放つそのスクーターに乗るのは
小柄の若い女性だ。乗馬で使う帽子のようなヘルメットに、体のラインが出る細身のライダース
ジャケット、薄手の黒皮のグローブ……どれも新品のようだ。
 こちらの視線に気付くと彼女はしゃんと背筋を伸ばし、誇らしげに前を見つめる。
 信号が変わるとおっかなびっくりにトロトロと走り出す。いかにも免許取りたてのご様子である。

 ―― 僕にもこんな時期があったのかな。

 彼女を横目で見ながらスロットルを捻ると、僕の相棒は難無く彼女を抜き去った。
 ゆるやかなカーブを抜け、不忍通りとの交差点で信号のストップがかかる。

 ポコポコポコポコポコ。

 新品の彼女が再び僕の横に止まった。
 今度は彼女の方が僕に視線を送り、嬉しそうな笑顔を見せてくれる。
 僕は咄嗟にシールドを上げ、優しく声をかけた。

「ホンダのジョルノだね。新車? ピカピカだー」
「?……なんですかー?」

 周りの排気音がうるさい為に、僕の声は届かない。もう一度、声を大きくして話しかけてみる。

「それ、買ったばかりでしょー!? 顔がにやけてるよ!!」
「あ、はい!! さっきそこのバイク屋さんで納車……」

 信号が赤から青に変わる。
 僕は親指を立てて見せ、彼女のスクーターを置き去りにする。
 ミラーを覗くとおっかなびっくりにトロトロとスタートするスクーターが写っている。
 
 ―― 春風か。

 僕はヘルメットのバイザーを上げたまま、しばらく春の新しい風を感じていた。



 <終>

10ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/14(木) 00:33:36.39ID:15cvyyjg
いきなり誤字った。
まあ推敲なんてクソくらえなスレ。でも一応・・・。
<今日の東京の上空は>
東京の空模様は〜 の方が良かったか。
って実はこれ、5年ほど前に書いた短編でした。後半、つけ足しただけです。

さて、次は恋愛モノかなー。

11ひよこ名無しさん2017/12/19(火) 03:17:24.80ID:mHf8Ok0o
1個目のやつ世界観すごく好きだわ
活躍するとこ見てみたい

12ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:05:08.60ID:8dleos0t
>>11
(=゚ω゚)ノ アリガトウゴザマス。
実は3機倒すところまで書いてましたw
それ書いたらオチがつかなくなってしまったという・・・・。結局バッサリ話を切り落としました。

13ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:12:55.16ID:8dleos0t
 俺には全てがスローモーションに見えた。
 彼女が持っていたコンビニコーヒーが制服ぶちまけられ、驚いた拍子にスマホが手から離れて
廊下に落ちる。

「ご、ごめんなさい!」
「いや、こっちもボケっとしてたから! 君大丈夫?」

 アニメや漫画ではよくある話だ。
 男子生徒と女子生徒が廊下でぶつかり、それがきっかけでお互い恋に落ちる。
 コーヒーをかけられたのは隣にいた俺の友達。
 ぶつかってきた彼女は、俺が思いを寄せていた隣のクラスの女子。
 よくある、ふざけた話だ。

14ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:16:41.74ID:8dleos0t
 昼休み。
 校内のサロンで仲良く話している二人を、遠くから眺めている俺。
 あの時彼女がぶつかった相手が俺だったらなら、あそこにいるのは俺だったんだろうか。
 無いな。
 俺はあいつより背が15センチも低いし、彼女よりもすこし低い。学力でも叶わない。
オマケに顔も良くないときている。偶然が引き寄せるものなんて、俺には何一つ無いんだ。
 はぁ……っとため息をついたその時、カメラのシャッター音が鳴った。
 どうせあいつだろうと、俺は窓の外に視線を向けて言った。

「勝手に撮るんじゃねえよ。いい加減、金請求するぞ」
「だってさ、面白いじゃない? 高校1年生の男子がそういう顔してるのってさ。若きウェイテルの
悩みってやつ? いいねぇ、その表情」

 そう言うとわざと俺の視線に入るように前に立ち、再びカメラを構えてシャッターを押す。
 細身のメガネをかけたショートヘアのチビ女、つばめ。
 こいつは中学時代クラスメイトだった女で、いつもバシャバシャと写真を撮っている変な奴だ。
 俺はつばめを睨みながら言った。

「お前、若きウェイテルの悩みを読んだのか? あれ、主人公が最後に自殺するんだぜ?」
「へ? あ、そうだったっけ……」

 つばめはキョトンとした顔を見せ、そして偶然が引き寄せたあの二人を見つめながら言った。

「偶然の出会いかぁ。男ってああいう女の子、好きだよね。髪サラッサラで長くて目が
パッチリ。オマケにスタイル良くって声も可愛いときたもんだ」
「……まあな。お前とは全然違うよな」

 つばめはサロンのテーブルを両手でバンと叩き、そのままの格好で俺の顔を覗き込んだ。
 やばい。全然違うとか言わなきゃよかったか。

「さっきのモデル料ってことで。おにぎり2個で380円ね」
「……まあいいか。有難く受け取っておくよ」

 つばめは少し距離を取ると、両手の人差し指と親指でフレームを作って俺に向けて言った。

「自殺、すんなよ? さっさと諦めろよ?」
「誰がするかよ! なんだよ諦めろって!」

 つばめはにこやかにサロンを後にした。 
 まったく。変な女だ。

15ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:19:16.54ID:8dleos0t
しまった・・・・コピペ失敗しますた。
もう一度、初めからうpります。

16ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:20:48.98ID:8dleos0t
【ジャンル】 恋愛


 俺には全てがスローモーションに見えた。
 彼女が持っていたコンビニコーヒーが制服ぶちまけられ、驚いた拍子にスマホが手から離れて
廊下に落ちる。

「ご、ごめんなさい!」
「いや、こっちもボケっとしてたから! 君大丈夫?」

 アニメや漫画ではよくある話だ。
 男子生徒と女子生徒が廊下でぶつかり、それがきっかけでお互い恋に落ちる。
 コーヒーをかけられたのは隣にいた俺の友達。
 ぶつかってきた彼女は、俺が思いを寄せていた隣のクラスの女子。
 よくある、ふざけた話だ。

 校内のサロンで仲良く話している二人を、遠くから眺めている俺。
 あの時彼女がぶつかった相手が俺だったらなら、あそこにいるのは俺だったんだろうか。
 無いな。
 俺はあいつより背が15センチも低いし、彼女よりもすこし低い。学力でも叶わない。
オマケに顔も良くないときている。偶然が引き寄せるものなんて、俺には何一つ無いんだ。
 はぁ……っとため息をついたその時、カメラのシャッター音が鳴った。
 どうせあいつだろうと、俺は窓の外に視線を向けて言った。

17ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:25:31.66ID:8dleos0t
「勝手に撮るんじゃねえよ。いい加減、金請求するぞ」
「だってさ、面白いじゃない? 高校1年生の男子がそういう顔してるのってさ。若きウェイテルの
悩みってやつ? いいねぇ、その表情」

 そう言うとわざと俺の視線に入るように前に立ち、再びカメラを構えてシャッターを押す。
 細身のメガネをかけたショートヘアのチビ女、つばめ。
 こいつは中学時代クラスメイトだった女で、いつもバシャバシャと写真を撮っている変な奴だ。
 俺はつばめを睨みながら言った。

「お前、若きウェイテルの悩みを読んだのか? あれ、主人公が最後に自殺するんだぜ?」
「へ? あ、そうだったっけ」

 つばめはキョトンとした顔を見せ、そして偶然が引き寄せたあの二人を見つめながら言った。

「偶然の出会いかぁ。男ってああいう女の子、好きだよね。髪サラッサラで長くて目が
パッチリ。オマケにスタイル良くって声も可愛いときたもんだ」
「……まあな。お前とは全然違うよな」

 つばめはサロンのテーブルを両手でバンと叩き、そのままの格好で俺の顔を覗き込んだ。
 やばい。全然違うとか言わなきゃよかったか。
 しかしつばめは目を丸くし、なぜか嬉しそうだ。

「そうなんだよね! 私くせ毛だからさ、髪伸ばすとカップ焼きそばの麺みたいになっちゃうんだよ!
目だってさ、ほら、メガネ外すと坂本龍馬みたいになっちゃうしさ!」

 メガネを外して細めて見せた目が妙におかしくて、俺は吹いてしまった。
 つばめはメガネをかけ直し、途端に優しい顔になって俺に言った。

「なんだ。またいつものつまんない顔に戻っちゃった。あ、そうそう。家のおにぎり屋の新作持っ
てきたから。これでも食べて元気出せよ?」

18ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:28:45.40ID:8dleos0t
 テーブルにふたつ、おにぎりが置かれた。そういえばこいつ、おにぎり屋の娘だっけか。
 つばめは手に持ったカメラを俺に見せて言った。

「さっきのモデル料ってことで。おにぎり2個で380円ね」
「……まあいいか。有難く受け取っておくよ」

 つばめは少し距離を取ると、両手の人差し指と親指でフレームを作って俺に向けて言った。

「自殺、すんなよ? さっさと諦めろよ?」
「誰がするかよ! なんだよ諦めろって!」

 つばめはにこやかにサロンを後にした。
 俺が彼女の事を好きだって、あいつにはバレてたって事か。 
 まったく。変な女だ。


 その日、俺が卒業した中学の近くを通りかかった。
 あれから1年も経ってないから懐かしいという気はしないな。
 俺のいた教室を眺めた時、ふとあの時のつばめを思い出した。

 ―― 私、東京の美術大付属校を受けるんだ! カメラマンになりたいからさー!

 学力も優秀で、美術の成績も優秀。そんなあいつは俺にそう報告してきた。
 
 ―― おお、偶然。また同じ学校だね。

 合格間違い無しの美術大付属を受けたはずなのに、あいつは俺と同じ県立高校に入りやがった。
 理由を聞くと、恥ずかしそうに答えた。

 ―― 何かを捨てて手に入れられるものなんて、興味が無いんだ。
    いっそのこと何も捨てずに自分に、正直に生きたいと思っただけだよ。

 今でもその言葉の意味が解らない。もう一度聞く理由も俺には無いしな。
 そういえば、つばめと親しく話すようになったきっかけって何だったっけ。
 まあ、いいか。

19ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:30:33.28ID:8dleos0t
 4月。俺は高校2年生になった。
 偶然が引き寄せたあのふたりは、数か月で別れた。

 朝、桜が舞い散る通学路を歩くと、目の前にひとりの女の子が立っていた。
 細身のメガネをかけ、前よりも少し伸びた髪を後ろで束ねている。
 あいつはこちらに気付いた様子もなく、カメラのファインダーを覗いて桜を撮っていた。
 カメラを下ろし、直接その目で桜の木を見上げる横顔に心を掴まれた気がした。
 偶然の出会いじゃないけど、ここから始めてもいいかな。
 俺はつばめに駆け寄り、声を掛けた。
 
「またカメラかよ。ほんとお前、飽きねえよな、それ」
「うるさいなー!」
 



 ―― ごめん! ぼけっとしてたから……。あ、カメラ落としちゃったけど平気? 壊れてないかな。 
 ―― え? あ、大丈夫……たぶん。
 ―― でもすげえな。中2でこんなでかいカメラ持ってるなんてさ。
 ―― そそそ、そんなこと……ないです。
 ―― 俺、A組の……。


<終>  

20ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/20(水) 23:38:33.82ID:8dleos0t
はい、今回は色々大失敗でした。
自分で読み返したくないな。怖いので。
しかし、コピペを失敗するとは思わなかったよ……。
今作は昔書いた作品の原型を脳内から持ってきて、オチを付けて出来上がり〜って感じです。

21ひよこ名無しさん2017/12/21(木) 02:53:23.75ID:pRmKKuN1
ウェ、ウェルテル……
まあそれは置いといて、何かを捨てて、のくだり好きだわ
いじらしい秘めた片思いを、隠しきれなくてそれとなく言っちゃう感じが

22ひよこ名無しさん2017/12/21(木) 02:55:22.37ID:pRmKKuN1
これ、スレ主以外も投下していいんでしょ?
ついでだから俺も書いてく
短くてごめんな


ぽーん、と宙に硬貨が浮かぶ。
くるくるとせわしなく回転した硬貨は、手の平と甲のあいだにおとなしく挟まった。
そっと開く。
「裏、か」
また、投げる。
「裏」「裏」「裏」「また裏」
裏ばかり20回も出続けたあたりだろうか。
硬貨を投げ続ける男に、話しかける者がいた。
「あの」
話しかけたのはうら若き女性だった。どう見ても不審な男にわざわざ話しかけるとは、豪胆な女だった。
「何をなさっているのですか。先ほどからずっと、硬貨を投げ上げていらっしゃるけれど」
すると、男はよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、するすると話し始めた。
「お嬢さん。幸福の仕組みをご存知かね」
「幸福?」
「人は人生に持てる幸福の総量が生まれた時から決まっているのだ。だから例えば、籤で大当たりを引いたものはその後大金に振り回されるし、不運にも悲惨な事故で死ぬものには泣いてくれるような家族が多い」
「禍福は糾える縄の如し、ということですか」
男はぐいっと片眉を上げた。
「少し違う。禍福は縄のように交互には来ず、揺り戻す振り子のようなものだ」
「振り子時計の振り子?」
「そう。右へ大きく振れれば、その分左へ大きく振れる。小さければその分の揺り戻しも小さい」
つまりだね、と上機嫌に続ける男。
「私は先程からずっと、コインの表が出る方に賭けつづけていた。しかし不幸にも、コインは裏しか出やしない。ああ、なんと不運なのだろうと思いながら、私は何度も表に賭け、何度も負け続けた。不幸は累積し、もうここ3日ほどで100回以上、負け続け」
「なるほど」
女はにっこりと笑った。男の表情があまりに子供っぽい無邪気さをたたえていたからだ。それが滑稽に思えて、女はつい、話を続けた。

23ひよこ名無しさん2017/12/21(木) 02:55:31.48ID:pRmKKuN1
「では、お聞きしたいのですがね」
「なんだい?」
「私はたった今、母親の葬式を終えてきたところなのです。唯一の肉親であった母が死に、頼れる親戚もおらず、友と呼べるような人もいない。これまでの人生で、幸福と呼べるような思い出なんて、片手で数えるほどもありやしない」
男は、その言葉で初めて、女が喪服を着ていることに気づいた。
「そんな私の揺り戻しは、一体いつ来るんですかね」
「……そんなものは、考えるまでもないさ」
男は精一杯の笑みを浮かべて、女に手を差し出す。
ここで手を差し出さねば男ではない。
「私と出会ったことさ」
女の目が見開かれた。見張った目にみるみる涙が溜まっていく。
「私が君を幸福にしよう。君の不幸も私の不幸も、私たちが出会う幸福のためにあったのだ。私たちなら幸福になれるさ」
下を向いた女の足元に、丸い水の染みがポトポトと増えていく。
「…………それは、本気でおっしゃっている?」
「もちろん」
女はぐいと顔を上げた。
男は戸惑った。
女の顔は、ひどい憤怒に彩られていたらからだ。
「ふざけるな。私のこれまでの不幸が、親を亡くすほどの不幸が、たかだかコインの裏ごときと釣り合うものか。あまりに採算が合わないだろう。しかもよりによって、葬式帰りの女を口説くような男と出会うことの、何が幸福だと言うのだ!」
女は一息にまくしたてると、馬鹿にしやがって、と吐きすて、憤慨したまま足音高く去っていった。
その後ろ姿を見つめた男は、ぽつりとこう呟いた。
「あんな女に絡まれるとは、私はなんと不幸なのだ」
そう言ってまた硬貨を投げはじめる男に、話しかける者はもういなかった。

24ひよこ名無しさん2017/12/21(木) 02:56:16.27ID:pRmKKuN1
あ、改行入れるべきだったな
べたっとして読みづらい

25ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/21(木) 18:07:30.92ID:0QICY99g
>>21
クッソ笑って顔真っ赤になったww 
やはりある程度読み直した方がいいのかね・・・。

26ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/21(木) 19:23:21.74ID:0QICY99g
>>24
もし本当に幸福の振り子があるとしたら、どの揺れ幅が幸せなのだろう。
でも、その揺れ幅(幸、不幸)を感じるのは結局自分自身なんだよね。
そんな事を考えさせられたお話でした。

あ、気にせず気が向いた時に好きなだけ書いてくださいな。
改行は専用ブラウザで見ているので気になりませんでしたよー。

27ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2017/12/29(金) 11:28:56.05ID:eApnd3mv
保守あげ

28接続詞マイスター2018/01/05(金) 06:54:54.43ID:3JRCadi5
ウェイテルあげ

29ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2018/01/06(土) 10:19:42.79ID:A0HqQU44
上ってると思ったらあぼーんだった

30ひよこ名無しさん2018/01/10(水) 02:02:53.42ID:Q/g+VRHo
新年そうそう暗いやつを投下




「明日からはもう来なくていいよ」

そう告げられたことに、あまり驚きはなかった。無かったから、素直に「はい」と言った。

雇い主であった店長は、ほっとした表情を浮かべ、そのことに自分で気づいて慌てて、一つ咳払いをした。

そんな様子をみて、滑稽だな、と思った、そんな自分が一番滑稽だった。


家に帰る途中、ずっと夜空が綺麗だった。雲の一つもなかった。せめて雨でも降ってくれていれば、もっと感傷に浸れたかもしれない。でも、あざ笑うように月が煌々と輝いていて、自分の影がくっきりと道路に落ちていた。

何もかもが自分を嗤っているようだった。月も空も夜も、ビルも屋根も道も、寒さや辛さや苦しさも、全部が僕の敵だった。


ただいま、という言葉が、僕の口から出て落ちた。おかえり、という母の声が、遠くから聞こえる。

「おかえり、バイトどうだった?」

どうもこうもないよ、クビになったよ。うまく喉から言葉が出なくて、つい「別に」と返してしまう。

「そう」

母はこちらを向かない。夕飯の支度で忙しいのだ。

31ひよこ名無しさん2018/01/10(水) 02:04:21.77ID:Q/g+VRHo
鞄を机に置いてから、ふと、食卓の上の花瓶に気づいた。花が活けられるでもなく、ぽつんと置いてある。

「どうしたの、これ」
「ああ、花瓶? それねえ、ダメになっちゃったみたいでね」
「ダメに?」
「そうなの。今日、角のとこの花屋さんで菊を買ってきたの、ほら、そこのやつ」

食卓の隅に、花らしき包みがあった。新聞紙とアルミホイルの包装。中からは数枚の花びらがこぼれている。

「せっかくきれいだから、花瓶に飾ろうと思って出してきたんだけど。漏れるのよ、水が」
「もれる? どこから?」

そう言って花瓶を持ち上げる。フチが欠け、塗装もところどころ禿げている。もう長いこと、この家にある花瓶だ。子供の頃からあった気がする。

「ヒビがあるっぽいの。底のほう」

くるくる回して、ようやくそれらしきものを見つける。ヒビはかなり広範囲にわたって、細いながらもかなりの存在感があった。

「ああ、あった」
「直せると思う?」
「うーん、難しいんじゃないかな」

母はそう、と頷き、特に何を思うでもない声音で、じゃあ捨てといてくれる、と言った。

「あれ、捨てちゃうんだ」
「もったいないけどね、水が漏るんじゃ仕方ないから。使えないものをとっておいても、役に立たないしね」

32ひよこ名無しさん2018/01/10(水) 02:05:38.15ID:Q/g+VRHo
なかなか寝付けなかった。最近はいつもそうだ。
ゆっくり布団を抜け出した。同じ部屋で寝ている母に気づかれないように。ひどく喉が渇いていた。
キッチンで水を飲む。かたわらの花瓶が目に入った。
そっと、音がしないように持ち上げて、シンクの中にいれた。蛇口をひねる。花瓶の中に、ゆっくりと水が溜まっていく。持ち上げると、ぽたぽたと底から水が滴った。

『水が漏れるのよ』

ふいに母の声が聞こえた。耳の中で。
シンクに落ちる水音が、わずらわしいほどうるさい。こんなにもうるさくては、母が起きてしまう。
耳奥で、また声がする。

『明日からはもう来なくていいよ』

店長の声だ。いや、違う、これまでにクビになった全てのバイトの店長の声が、全部重なって聞こえている。
ああ、水が漏れている。花瓶の底から漏れている。僕の目からも漏れている。

『水が漏るんじゃ仕方ないから。』

仕方ないんだ、漏れるんだから。水が漏れる音が、脳の底から聞こえている。きっと脳みそが漏れている。涙も脳みそも、花瓶の底から漏れていく。
僕の足は、窓に向かった。片手に水の入った花瓶を抱え、窓の鍵を開けて、ベランダに出る。冷たい風が僕の涙をさらに冷やす。冷たいな、とこぼれ続ける脳みそが思う。

『使えないものをとっておいても』

花瓶を両手で掲げる。ベランダの柵の向こう側に、花瓶の水が垂れる。闇に吸い込まれるしずく。

『役に立たないしね』

耳の奥で水音がする。水滴の音ではなかった。もっと大きな、水流がうなる音だった。
無意識にくちびるが動いた。

「おまえも、役立たずなんだな」

ああ、役立たずは捨てるしかない。捨てるしかないんだ。仕方ないんだ。ヒビの入った花瓶なんて、もう誰も用はないんだよ。

手から力が抜ける。
するりと、花瓶と水の重さが、消えた。
耳のずっと奥で、がしゃんと割れる音を聞いた。その音が僕には心地よかった。もう一度、その音が聞きたい、と心底思った。
だって、その音はきっと、僕の頭蓋骨が割れる音に、とてもよく似ているのだから。

33ひよこ名無しさん2018/01/10(水) 02:07:35.99ID:Q/g+VRHo
終わり
新年そうそう自殺話で縁起が悪いったらありゃしないな
前回ミスったからちょっと改行多目にしてみたけど……うーん、次回また考えてみるわ

34ムッシュ52型改 ◆DASH/wXFGw 2018/01/19(金) 19:15:36.26ID:Z/C0YGbT
>>33
音楽的に言うならブルースだな、と感じたよ。
フォークぽくもあるんだけど、またちょっと違うなー。
とにかく1曲聴いた感じになったな。

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